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日々の暮らしを豊かにする音声ソリューション

SEMEA バイスプレジデント兼セールス担当責任者 マルコ・ベルトッツィ

音声の持つ力を Spotify は知っています。音楽やポッドキャストは世界中の人々に喜びをもたらし、長時間スクリーンを見つめる日々で音声の存在感は増しています。今年ラスベガスで開催された1 CES では、音声が私たちの暮らしをさらに豊かにしていくさまがくっきりと描き出されました。

CES ほど、最先端のテクノロジーを知るのに適した場所はありません。Spotify は CES の全日程に参加し、時には驚きに値するテクノロジーの数々が、人々の生活のあらゆる場面で活用されている例を目の当たりにしました。こうしたテクノロジーは、「クオンティファイド・セルフ」というマクロトレンドの中心を担っています。テクノロジーをどのように活用すれば、人間としての私たち自身をよりよく理解できるか。どのように診断し、レポートし、ツールを作成すれば、人々の暮らしをもっと豊かにできるか。それがこのトレンドの本質です。 クオンティファイド・セルフ スマートフォンや専用端末で自分の行動や状態を数値化すること。

「クオンティファイド・セルフ」から派生する重要なトレンドの 1 つに、多くのアプリケーションで、音声がソリューションの中核を成している点が挙げられます。音声は今、人々のより良い暮らしに貢献しています。スクリーンを必要としない場面はもちろん、現に、視覚障がいのためにスクリーンを見ることができない人々にとって音声は大きな支えとなっているのです。ここで、CES で目にした興味深いソリューションを 4 つご紹介します。驚くほど高性能なものや、日常生活を一変させるものもあれば、楽しい時間を演出するためのものもあります。

人をアシストする音声ソリューション

まずは、オーカムマイアイ2 から。これは、視覚障がいのある方や全盲の方のためのテクノロジーの賜物です。ページ全面に書かれた文字や紙幣、人間の顔などをスキャンして、耳掛け式の小さなデバイスを通じて読み上げます。また、買い物中に商品のバーコードをスキャンすれば、その商品の説明が音声で読み上げられます。つまり、目で見えている世界を音声にしてくれるのです。

これと似た製品に、家庭用バーチャル介護アシスタントの Addison Care2 があります。ユーザーのバイタルサインをモニタリングして異常がないか確認し、動作を評価して体調不良の兆候を察知。薬の飲み忘れを防ぐリマインダー機能も付いています。操作は主に音声で行うため、高齢者でも直感的に使いこなせます。これもまた、人々の暮らしをより良くしてくれる、音声とテクノロジーの見事な活用例と言えるでしょう。

実用性を追求し、暮らしを一変させるものばかりではありません。私たちは CES で、思いつく限りのデバイスに音声アシスタントが組み込まれているのを目撃しました。中でもひときわ目立っていたのが、シャワーヘッド。シャワーを浴びながら、天気予報や通勤情報を前もってチェックできるうえ、もちろん、お気に入りの Spotify プレイリストやポッドキャストも呼び出せるという優れものです。マーケティング担当者にとって、スクリーンのないデバイスやスクリーンのない状況で、いかにしてインターネットにつながるかは、きわめて重要な課題になっていきます。シャワー中にストリーミングを楽しみたい人がいると知っていたら、Alexa を搭載したシャワーヘッドの活用の可能性は無限に広がるでしょう。

自動車業界での音声の挑戦

最後に、明日の自動車業界で音声がいかに重要な役割を果たすこととなるかを示す例をご紹介します。自動車メーカー各社は、これから登場する自動運転車向けの巨大スクリーンを発表し、音声アシスタントを搭載した車種も数多く紹介されました。

Axios のサラ・フィッシャー3は「今年の CES では、自動運転車の実用化に伴い、メディアエクスペリエンスをどう推し出していくかという点が大きなテーマのひとつ」と伝えました。また、ランボルギーニの Huracán EVO にアマゾンの Alexa が今年導入される予定であること、音声によるガソリン購入の実現に向けてアマゾンと石油最大手のエクソンモービルが提携したことも報告しています。その一方で、ハードウェアブランドの Anker とスピーカー関連メーカーの JBL はともに、年式を問わずどんな車にも接続できる Google アシスタント搭載の新デバイスを発表しました。車は声で遠隔操作できるようになる — そんな未来が、かつてないほど鮮明に描き出されました。

イヤホン、コネクテッドスピーカー、車など、技術革新によって画期的な製品が続々と登場し、音声はすでに人々の暮らしを心地よく包んでいます。しかし、CES で発表された新製品によって、音声の果たす役割がこれまで以上に大きくなることが明らかになりました。Spotify が世界最大の音声ネットワークを目指す以上、新しいデバイスやガジェット、インテグレーションが登場する 2020 年、私はずっと耳を澄ませます。そしてさまざまなブランドのために、試行錯誤しながらクリエイティブな方法を実現していきます。さあ、新たな音声の一年に乾杯しましょう。

参考記事(英語)

1 CES コンシューマー・エレクトロニクス・ショー の略。全米民生技術協会が主催する、家庭用エレクトロニクス分野で世界最大の国際見本市。 2 Addison Care ヘルスケアデータの分析や介護支援を行う Electronic Caregiver が開発した 3D アニメーションの仮想介護者。 3 Axios 2017 年ローンチの新興ニュースメディア。記者のサラ・フィッシャーは、毎週発行のニュースレター「Axios Media Trends」、ニュース速報、産業関連分析を担当。

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