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Spotifyが語る「音声ビジネス」急拡大の裏側

Spotify 制作:東洋経済ブランドスタジオ AD2021/12/17

文章や動画などを使った広告に比べると、音声広告の市場規模はまだ小さい。ところが近年、音声広告とデジタルの仕組みを組み合わせた「デジタル音声広告」の効果に注目が集まっている。その有用性と最新事例を紹介するのが、音声ストリーミングサービス運営企業・Spotifyだ。同社主催ウェビナーから、まだあまり知られていない「声の力」とそのメカニズムを探った。

2019年より始まった、Spotify Japanによる企業向けウェビナー。その第5弾となる「love Audio 音声広告の今 ~声のちから~」が、2021年11月17日に開催された。 冒頭で紹介されたのが、Spotifyの利用者数の伸びだ。日本国内でのMAUは2021年9月時点で960万人※1、対前年比1.5倍となった。Spotify Japan 広告営業事業統括・藤井哲尚氏は、その背景をこう話す。

「コロナ禍を経て生活習慣が変化し、音声コンテンツが利用されるシーンが以前より多様になりました。例えば昨年と比較すると、とくに運動中に音声を楽しむユーザーが増えています※2

ユーザーの伸びとともに、広告の出稿も増えている。 2021年第1~第3四半期の広告売り上げは、対前年比1.9倍、音声広告売り上げに限れば対前年比2.8倍と、音声広告事業が急成長していることが示された。

音声広告とともに動画広告・ディスプレイ広告もSpotify広告事業では展開しているが、同事業の総売り上げに占める音声広告の割合も、2020年の40%に対し、2021年は56%にまで伸びている。

※1 Monthly Active Users=月間アクティブユーザー数。数値はインテージ デジタル統合視聴率推定値より
※2ビデオリサーチ Spotifyユーザープロフィール調査(2021年9月実施)に基づく

「デジタル産業の調査機関・デジタルインファクトの推計によると、2019年に約7億円だったデジタル音声広告の市場規模は、21年に50億円、そして4年後の25年には420億円まで拡大するとみられています。当社の音声広告事業の成長率は、その予測とおおかた一致しています」(藤井氏)

ウェビナーの目玉企画として紹介されたのが、Spotifyのデジタル音声広告を利用して高い成果を上げた実例。1つ目は、ヘアカラー製品を手がける大手化粧品メーカー「ホーユー」の事例。商材は、ヘアカラーの色持ちをよくするための染料が入ったカラーシャンプー「SOMARCA(ソマルカ)」だ。同社マーケティング室・仲嶋友範氏はこう話す。

「カラーシャンプーは比較的新しいヘアケアカテゴリーで、まだ広くは認知されていません。そこで音声広告の力を活用できればと考えました」(仲嶋氏)

ホーユーでは、髪色をきれいに持続させるための製品であることを印象的に伝える、コミカルなクリエイティブ(広告素材)を制作。

ホーユー:『毛色』篇

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認知度では、とくに23~29歳と40代で+70pt以上という大きな上昇が見られた。出稿後の効果測定では、「想像を超える結果が出ました」(仲嶋氏)と振り返る。

製品に対する認知度で69.3ポイント、好感度で46.2ポイント、購入意向度で52.3ポイントの上昇が見られた。さらに広告接触後の行動を調べると「インターネットで調べた(37.5%)」「ホームページにアクセス(35.0%)」「ブログ・SNSなどで口コミ情報を確認(30.5%)」などを合計した「行動喚起率」が、65%に上った。

音声はユーザーの“もっと知りたい”を引き出す力がある

2つ目は、個人向けの住宅ローンやマイカーローンなどを扱う労働金庫の中央機関、一般社団法人 全国労働金庫協会(ろうきん協会)の事例だ。「若年層での認知拡大を目的に、ユーザーの半分以上が35歳未満であるSpotifyへの出稿を決めました」と、同法人組織渉外部主任・渡邊梢氏は話す。

そのクリエイティブを担当したのが、ラジオCMの制作を行う文化放送だ。カスタマーリレーション局・南理子氏はこう語る。

「若者への訴求力が高い声優さんを起用するバージョンを企画し、その声の力と拡散力に期待しました。また冒頭から広告色が強いと拒否反応を生みかねないと考え、会話で自然に始まるコピーを制作しました」(南氏)

そうしてできたのが、助け合いをテーマに声優が掛け合うバージョンや、お金に対して丁寧に向き合うことを訴求するバージョンなどだ。今回のウェビナー時点で出稿中だったため効果は未測定だが、渡邊氏は「目から入る情報に比べ、音声は受け手が自由に想像しやすく、共感や自分ごと化がしやすいと感じました」と語る。

ろうきん:『とはいえ』篇

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ろうきん:『自動販売機』篇

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2社の出稿事例を受け、Spotifyと共同で音声広告のクリエイティブを研究する月刊『宣伝会議』の編集長・谷口優氏は、こう言及した。

「広告が“嫌われもの”になりかねない中、“ながら聞き”がしやすいデジタル音声広告であればコンテンツ視聴を妨げにくく、広告の認知がブランド好意度につながりやすいのではないかと感じています。

またホーユー様の事例では広告接触後のネット検索をはじめとする行動喚起率が60%を超えましたが、ほかのSpotifyデジタル音声広告でも同水準の数字が見られています。 これは仮説ですが、音声という情報量がリッチすぎないコンテンツだからこそ、ユーザーに企業や商品について“もっと知りたい”と思わせる動機づけが働いているのではないかと」(谷口氏)

そうした広告効果の要因として、科学的な裏付けも紹介した。Spotifyとマーケティング調査会社・Neuro-Insight の共同研究では、音声は脳の感情・記憶・社会的な関係性構築の中枢に強く作用することがわかっている。つまり、音声を聞くことは「没入型」の体験といえる。

そこにユーザーのエンゲージメントを高める仕組みを備えたSpotifyのプラットフォームが掛け合わさることで、高い広告効果を生んでいるとSpotifyは分析する。

ポッドキャスター自らがスポンサーを開拓

最後のセッションでは、21年6月からポッドキャスト番組『GREENHOUSE RADIO with Shaula』をSpotifyで配信する“ポッドキャスター”、シャウラ・ヴォーグ氏が登壇。シャウラ氏はこれまでモデルやラジオDJとして活動してきた。同番組では、各ジャンルで活躍するゲストを招き、人生のターニングポイントを聞いている。

「もともとポッドキャストを聞くのが大好きで、いつかは自分も番組を持ちたいと思っていましたが、コロナ禍でワークライフスタイルが変わった今こそ絶好のタイミングでは?と思い、配信を始めました」(シャウラ氏) image3 ポッドキャストは、広告の仕組みがユニークだ。シャウラ氏はもともと接点があった企業に自ら企画書を送り、番組へのスポンサードを取り付けた。ポッドキャストが人気コンテンツとなりつつある米国では、番組内でポッドキャスター自身がスポンサーの商品を紹介するケースも珍しくない。それによりEコマースの売り上げが大きく上がった例も出ている。ポッドキャストの可能性についてシャウラ氏はこう話す。 「ポッドキャストは、自宅や好きな場所で録って配信できる、とても自由なフォーマットです。だからこそリスナーに想像力を喚起させやすく、それにより語り手に対して親密感も感じてもらいやすいと思います」(シャウラ氏)

ウェビナーの各セッションで話題に上がったのが、音声の持つ「想像力を喚起する」効果だ。それにより、コンテンツに“想像補正”のようなものがかかり、対象への親密感や情緒が増幅される。もちろんそうした効果はラジオをはじめとする音声メディアで従来でも見られたが、そこに細かなターゲティングや効果測定が行えるデジタルの仕組みが合わさり、音声の力をビジネスシーンでより効果的に活用できる時代に差しかかっている。

その点でデジタル音声広告はまだ黎明期とはいえ、刻一刻と状況が進展していくであろう。今後も動向にぜひ注目したい。

「loveAudio 音声広告の今 ~声のちから~」の視聴はこちらから

【音声広告の制作現場に潜入!】

image4 同ウェビナーでは、音声広告の制作現場も紹介された。“商材”となったのは、架空のスナック「パリパリジェンヌ」。クリエイティブを担当したのは、音声CMの世界で数々の賞を受賞してきたコピーライター・森田一成氏。音声収録スタジオに入ったのは森田氏と、2人のミキサー担当者、そして演者であるナレーターと役者の計5名。そこから森田氏が指示を出してのレコーディング作業が数セッション繰り返されたが、程なく収録は終了。1時間弱の収録で、2種類の“仮想CM”を録り終えた。音声広告なら、こうしたミニマルな形でのクリエイティブ制作も可能となる。

音声広告の制作現場動画はこちらから

元記事はこちらよりご覧頂けます。

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