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コロナ禍で拡がるCo-listening (一緒に聴く)という新しいスタイル

感染拡大を防ぐためのソーシャルディスタンシングが、私たちの日常をがらりと変えたのは誰もが知るところです。不要不急の外出を避け、家で過ごす時間が増えるなかで、新しい日常や習慣が定着しつつあります。音楽が毎日の生活で重要な役割を果たしていることに変わりはありませんが、自宅中心の新しい生活様式は音楽を聴く方法や場所、目的に変化をもたらしました。たとえば、運転中に音楽を聴くことが減り、ゲーム機やコネクテッドデバイスで音楽を楽しむ機会は増えています。

人々の生活様式と視聴習慣がどのように変化したかを知るべく、Spotify は 2020 年 4 月、Qualtrics* (クアルトリクス) 社の協力を得て、米国のリスナー 1,500 人を対象に調査を実施しました。すると、次のことが明らかになりました。ソーシャルディスタンシングによって他人との接触が減る一方で、巣ごもり生活を送るなかで家族や友人と一緒に音楽を聴く時間が増えているのです。ここからは、Co-listening (=一緒に聴く) の増加と、このトレンドがブランドのメッセージ発信にもたらす影響について解説します。

*Qualtrics 独 SAP 傘下のオンラインアンケートプロバイダー

ストリーミングの増加

ユーザーの行動習慣が変わろうと、オーディオストリーミングはどこにいても聴くことができます。通勤や通学などの移動が減り、家にいる時間が増えても、リスナーは好きな動画配信プラットフォームやSNS、音楽ストリーミングサービスを利用して、つながったり、情報を集めたり、楽しんだりしています。Spotify の調査では、67% が音声ストリーミングの利用時間が増えたと回答しています。1これを裏付けるように、Spotify の最近の決算報告書 (※英語記事) では、月間アクティブユーザー数が前年比 31% の増加を示しています。2

誰かと一緒に音楽を聴く人が増加

外出制限によって、離れた場所で暮らす家族や友人と会えなくなった人は少なくありません。こうしたなか、Spotify のコラボプレイリストでつながったり、Zoom でダンスパーティーを開催したり、リモートカラオケを楽しんだりする人が増えています。
一方、巣ごもり生活で家族や友人と過ごす時間が増えた人もいます。そうした人々の間では、音楽を 1 人で聴くより、家族と一緒に楽しんだり、くつろいだりしながら聴くことが増えています。回答者の 47% が、過去 2 週間に誰かと一緒に音楽を聴いていたことが Spotify の調査でわかります。3また、41% が、外出制限前より誰かと一緒に音楽を聴くことが増えたと回答しています。4何人かのグループで音楽を聴く時間も長くなっており、自分以外の 3 人と一緒に音楽を聴いた時間の平均は 5 時間でした。5

衰えを知らないスマートフォン、増加中のスマートスピーカー

グループで音楽を聴くデバイスにも変化が見られます。Spotify の再生に最もよく利用されるのはスマートフォンです。グループでもその傾向は変わりませんが、リスナーの 36% は、人と一緒に聴くときはスマートフォンのスピーカーを使うと回答しています。6最近急激な伸びを見せているプラットフォームは、グループで聴くときに使われるスマートスピーカーです。回答者の 60% が、スマートスピーカーを使ってグループで音楽を聴くことがコロナ前よりも増えたと答えています。7

ポッドキャストで家族の時間が充実

ここ数週間で、情報の入手やエンターテインメントにポッドキャストを活用するリスナーが増えています。また、ファンへのリーチやエンゲージメントが容易なことに目を付けて、Spotify でクリエイター活動を展開するアーティストも急増 (※英語記事) しています。その結果、リスナーもコンテンツもかつてないほど増えているのが現状です。
家庭内でも同じことが言えます。ここ数週間は、子供の遊びや勉強のため、また画面を見る時間の代わりとして、保護者が自宅でポッドキャストを利用しています。Spotify が最近実施した聴取トレンド調査によると、家族と一緒に過ごすことで、ポッドキャストをグループで聴くことが増えています。誰かと一緒にポッドキャストを聴くリスナーの 55% が、画面を見ることなく家庭で楽しめるのがポッドキャストの魅力だと答え、45% は同居している人と一緒に過ごすきっかけになると答えています。8

これまで同様、大事なのはコンテキスト

こうした調査結果を、数週間後あるいは数か月後にブランドが発信するメッセージにどう反映させたらよいでしょうか。リスナーの状況を把握し、それに合わせてトーンを調整することは、かつてないほど重要になっています。リスナーの 45% が、企業広告が流れてきたとき、その内容がそのとき自分がやっていることに関連していると、より説得力があると答えています。9生活様式が急激に変化している今、企業は信頼性の低いシグナルよりも、状況から得られる手掛かりに目を向ける必要があります。でないと、次のような重要なインサイトを見落としかねません。調査に回答したリスナーの 59% は料理をする時間が増えたと答え、44% は家族と行動する時間が増えたと答えています。10
グループに向けたメッセージを発信するときは、コンテキストだけでなく、リスナーの気分を理解し、それに寄り添うことも重要になります。リスナーの 41% は、グループの気分に合ったデジタル音声広告の方が受け入れやすいと答えています。11

原文 (英語)

1 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 2 Spotify 社内データ (2020 年第 1 四半期) 3 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 4 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 5 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 6 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 7 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 8 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 9 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 10 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国) 11 Qualtrics & Spotify - Co-listening に関する 1,500 人アンケート (2020 年 4 月、米国)