お客様事例

感情を揺さぶる「デジタル音声広告」の実力

Spotify 制作:東洋経済ブランドスタジオ AD 2020/08/12

なぜ音声が企業ブランディングに有用なのか

2019年、電通が発表した「日本の広告費」においてインターネットが、テレビメディアを抜き、2兆円超えとなったことが話題になった(※1)。巨大市場となったインターネット広告の中でもさらに成長を遂げているのが、ポッドキャストや、Spotifyなど音楽ストリーミングサービスを媒体とした「デジタル音声広告」という分野だ。

音声は、人間の感情に直接働きかける

日本においてデジタル音声広告の出稿環境が整備され、本格的に取り扱われるようになったのは2019年とつい最近のことだ。ポッドキャストやラジオ番組配信、音楽配信などのサービスが増えるに従って現在進行形で急成長しており、20年には前年比229%の16億円程度になると推定されている。今後も急激な市場拡大が見込まれ、23年には245億円規模に、さらに25年には420億円規模になると予想される(※2)。

こうしたデジタル音声広告市場の拡大の兆しは先行してアメリカで表れている。アメリカにおけるデジタル音声広告の収入総計は、17年時点で1972億円、18年は2424億円、そして19年は約2988億円と急成長を遂げている(※3)。

なぜ、ここまでデジタル音声広告がにわかに活気づいているのか。音楽・広告業界で数々の受賞歴があるアメリカの作曲家/テレビプロデューサーであり、著書に『なぜ、あの「音」を聞くと買いたくなるのか』があるジョエル・ベッカーマン氏に話を聞いた。まず彼が指摘するのは、デジタル音声広告と企業ブランディングの親和性が非常に高い点だ。

「以前私の会社が手がけた、ある大手通信会社のサウンドブランディングの際に行った調査では、音声によってブランドの認知度や好感度、親近感を顕著に向上させられることが明らかになりました。しかもそれは視覚を通した場合に比べ、驚くほど高い効果でした。そうした音声の効果を利用すれば、音声広告によってユーザーとブランドの結び付きを強固にできます。

音の効果というと、例えばスマートフォンでメールを送信する時、“スーッシュ”という効果音が流れることで、ユーザーは仕事を1つ片付けた満足感を得られます。同様にクレジットカードやデジタルマネーの決済音は、買い物による高揚感や満足度を高めてくれます。このように音声には、人間の感情にダイレクトに働きかける作用があるんです」(ベッカーマン氏)

感情をターゲティングすることも可能

なぜ音声は、人間の感情に直接働きかけるのか。

「音声や音楽は、脳の原始的な部位である大脳辺縁系に直接作用し、瞬時に強い感情や記憶を呼び起こします。例えば、不意に聴こえた曲のワンフレーズにより、家族や恋人との思い出に一瞬でタイムスリップすることがありますよね。このように音は気づかないうちに、私たちの気分や体験に大きな影響を与えています。

だからこそ、ユーザーの感情を揺さぶるようなブランディングをするには、音声がとても効率的なのです。音声は、ブランドの存在とユーザーの特定の感情とを結びつける“赤い糸”のような働きをするといってもいいでしょう」(ベッカーマン氏)

またSpotifyなどのデジタル音声広告では、従来のラジオ音声広告と違って、年齢・性別・エリアといった細かなターゲティングが行えるのも大きな特徴だ。さらには曲と曲の間に広告が流れるため、プレイリストやジャンルをもとに「リラックスしている人」「エモーショナルな気分の人」など、“感情をターゲティング”することも可能だ。このように、従来とは異なる広告戦略を用いることができる点も、デジタル音声広告が選ばれている要因の1つだろう。

「この先、企業がアイデンティティを確立するにあたり、サウンドブランディングは必要不可欠なものとなっていくでしょう」(ベッカーマン氏)

デジタル音声広告の代表的な媒体であるSpotifyにて、実際に音声広告を出稿し効果を得た企業事例を紹介する。

印象に残る「音声」はブランディングに直結

音楽ストリーミングサービスのSpotifyに2020年5月1日からの1カ月間、デジタル音声広告を出稿したのが、音声通知対応のスマートイヤホン「Zeeny」(ジーニー)シリーズを手がけるネインだ。Zeenyは音声だけで通知を受け取ったり、操作したりすることができ、Androidに関しては、すべて音声だけで完結することができる「スクリーンフリー」をうたっている。代表取締役兼CEO・山本健太郎氏はこう振り返る。

「2月に発売した『Zeeny Lights』の認知拡大のためにラジオを中心に広告展開し、その一環として今回Spotifyに出稿しました。商品の大きな特徴が、イヤホンを着けている時にLINEやメール、ニュースアプリなどの通知がスマホに届いた際、その内容を読み上げる機能です。バナーやリスティング広告ではその特徴を伝えるのは難しいですが、音声広告であれば読み上げる音声をそのまま流せるので、ぴったりでした」(山本氏)

A/Bテストの末、出稿パターンを変更

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ネイン
代表取締役兼CEO
山本 健太郎 氏


今回の出稿では、擬人化されたZeenyが自ら「私はZeeny」と、その特徴を自己紹介するというクリエイティブを制作。当初はAパターンの転校生バージョンとBパターンの中途社員バージョンの2つを展開した。 「クリック率で両者に明確な差が表れたので、掲載期間の後半はクリック率のよかったAパターンに一本化しました。こういったA/Bテストができるところが、Spotifyの音声広告の大きな魅力です。Spotifyで試して良かった方をラジオやほかの媒体で流すといったことも考えられます」(山本氏)

ほかにもさまざまな広告成果を、数値でつかむことができたという。今回の出稿では、1カ月に約21.6万インプレッション(流れた回数)、約18.6万ユニークユーザーリーチ(広告に触れたユーザー数)を達成した。

「バナー広告やリスティング広告はブランディングにつながりにくい面があり、動画広告はスキップされやすいというデメリットがあります。またSNS広告は、たとえインプレッションが高くても、流し見されやすい面がある。対してSpotifyの音声広告は視聴している楽曲の合間に配信され、スキップ機能がないことから、完全聴取率(広告を最初から最後まで聴く率)が非常に高く、印象に残りやすいため、ブランディングにはとても有効だと感じています」(山本氏)

テレビCMなどでもお決まりの「サウンドロゴ」は頭に残りやすく、何度も聞くことで企業への安心感や信頼感を醸成する。同社では、同時にインフルエンサーマーケティングも実施していたが、インフルエンサーに紹介されるだけでは、実際の購買にはつながらなかったという。デジタル音声広告も並行して実施することで、紹介されたものが「信頼できる商品」であるというブランディングにつながり、売り上げも伸びたそうだ。

実際の音声を再生できます

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超集中に導く音楽で「仕事への没頭」を表現

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ウォンテッドリー
代表取締役CEO
仲 暁子 氏


「Spotifyは音楽好きの若いユーザーが多く、クールなイメージもあり、それが私たちの目指すブランドイメージとマッチするのではないかと感じていました。私たちがターゲットとする若手ビジネスパーソンは音楽を聴きながら仕事をしているという情報もあり、親和性は高いと推測していたんです」 と語るのは、ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子氏だ。ウォンテッドリーは昨年夏、つながり管理アプリ「Wantedly People」の400万ユーザー突破を記念する「ENERGY MUSIC PROJECT」を展開。プロジェクトではm-floをはじめとしたアーティスト4組が“ビジネスパーソンを超集中へ導く作業用BGM”を制作した。

「当社は『シゴトでココロオドルひとをふやす』をミッションにしていて、それを実現するキーワードに『没頭』を挙げています。今回のプロジェクトはまさに、仕事への没頭に寄与したいという私たちの想いを形にしたものです。没頭できる人を増やすには没頭できる環境を増やすこと。ビジネスパーソンの仕事はスマホの通知やメールの音で遮られてしまうという話もあったので、没頭できる環境をつくるために音楽が果たせる役割は大きいと考えました」(仲氏)

実際の音声を再生できます

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集中へ導く音楽のカギは「懐メロ」と「自然音」

そこでシナジーがあると思ったのが、楽曲をそのまま聴いてもらえるSpotifyのデジタル音声広告だ。2019年8月からの約1カ月間、Spotifyにて広告を展開。このプロジェクトでは「没頭」を実現するために楽曲そのものを4曲もつくっており、それがSpotifyという媒体にぴったりとハマった。集中力に関する専門家チームとの公開実験により、「すでに知っている音楽」「自然音」が集中力促進に効果的であることが判明した。こうした実験結果をもとにアーティストたちが約20分ほどの楽曲を制作。冒頭には過去のヒット曲を彷彿とさせるメロディが流れ、中盤では水と森の音などの自然音が流れるものだ。

「調査では、音楽を聴くことで70%ものビジネスパーソンの集中力がアップすることがわかりました(※4)。私たちの目指す『没頭』は、分解すると『自律』『共感』『挑戦』の3つの要素からなっており、『共感』を軸にした人と会社、人と人との出会いの創出のために会社訪問アプリ「Wantedly Visit」、そして「Wantedly People」を提供してきました。新たに提供開始したエンゲージメント領域の3サービス、リモートワークでもチームを管理できるコンディション・マネジメント『Pulse』、社内報『Internal Story』、従業員特典『Perk』といった事業もそれぞれの要素を支援し、『没頭』を実現するためのもの。今回の音声広告によるブランディングで、そういった私たちの事業の目指すビジョンを十分に伝えられたかと思います。とくに私たちが手がけるような新奇性・独自性の高い商材のプロモーションでは、Spotifyの持つ先進的なブランドイメージがプラスに働くのではないかと思います」(仲氏)

Spotifyが事後に行う「ブランドリフト調査」の結果では、今回の出稿により、楽曲を認知した人の割合は広告接触者が非広告接触者に比べて、11.8%上回った。さらに、好印象を持ったと答えた人も、非接触者に比べ接触者が17%も上回る結果に。他社事例や一般的な動画広告認知と比べても非常に高い数値となったそうだ。ともすると、ユーザーに嫌われかねない「広告」という存在が、不自然でない文脈で生活に入り込み、ブランドのメッセージを伝えられるのは、デジタル音声広告ならではの強みといえるだろう。

東洋経済より転載

※1 電通「2019年 日本の広告費」
※2 デジタルインファクト調べ
※3 出典:IAB internet advertising revenue report 2016~2018 full year results
IAB-HY19-Internet-Advertising-Revenue-Report
FY19-IAB-Internet-Ad Revenue Report_Final
※4 仕事でのデジタルツールの影響及び音楽に対する意識調査
https://m-flo.withwantedly.com/

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