トヨタ自動車: 若年層からの共感の獲得に SpotifyのPodcast番組が奏功
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トヨタ自動車株式会社のSpotify活用事例をご紹介します。同社は、2024年9月にSpotifyのPodcast番組「TOYOTA SOUND TRACK」を立ち上げ、これまで合計4組の音楽アーティストによる番組を公開してきました。プロデューサーとして企画段階から制作に携わった島﨑佑さんに、Spotify広告の魅力やユーザーからの反応を聞きました。
若年層からの“共感”を獲得するために、若手の音楽アーティストを起用したPodcast番組を立ち上げ
トヨタが立ち上げたPodcast番組「TOYOTA SOUND TRACK」のコンセプトは、「夢に向かってチャレンジを続けるアーティストの原点に迫る」です。ゲストとしてお招きした音楽アーティストが、「移動できるから、できることがある。」という企画のテーマに合わせ、活動の原点となった地をドライブしながら、将来の夢や理想の姿について語る番組構成となっています。
「TOYOTA SOUND TRACK」立ち上げの狙いは、将来の見込み客である若年層からの共感の獲得でした。現在、日本の人口減少に伴いクルマの保有台数は低下傾向にあります。そこで、トヨタは将来の見込み客ともいえる若年層との接点を作り、関係構築を進めるためのさまざまな施策を推進中。若年層の関心が高い音楽に着目して、「移動×音楽」の企画を検討し始めていた頃、SpotifyがZ世代の利用率を伸ばしていること、Spotifyによる音楽の聴取シーンは移動中が多いことを知りました。同社の営業担当と話してみると、トヨタの「Mobility for ALL」(※1)や、いま推し進めているマーケティング施策との親和性が見いだせたため、取り組みをご一緒することになったのです。
Spotifyの立体的な広告フォーマットを用いることで、ターゲットへの確実なアプローチを実現
Spotifyから提案されたのは、「Podcast番組」「音声広告」「ブランドプレイリスト」を掛け合わせた立体的な広告フォーマット。企画には、Spotifyが躍進を期待する次世代アーティスト「RADAR: Early Noise」に選出された経験のあるアーティストにご参加いただいたことで、アーティストを支持している若年層のファンへアプローチができました。
音声広告は、対象を若年層に絞り込んで配信。番組ゲストのアーティストが選曲したブランドプレイリストによって、日常生活で音楽を楽しんでいる幅広い若年ユーザー層にリーチが可能となりました。ほかのSNSの年齢属性とは異なり、若年層を基盤とするSpotifyだからこそ実現できたことです。
出来上がったコンテンツは広告色が強すぎず、Spotifyの中の一つのコンテンツという印象を受ける仕上がり。番組内では各アーティストが実際にドライブをしながら、自分たちの活動に「クルマ」や「ドライブ」が密接に関わっていることを語り合います。おもしろいのは、番組を聴いているうちに自分自身のターニングポイントや大切な思い出にも、クルマやドライブが関わっていたことに気がつかされるということ。ユーザーの心地よい音楽体験の中に、トヨタからのメッセージを組み込めたと思います。
島﨑 佑さん トヨタ・コニック・プロ株式会社 MK事業本部 第2マーケティング部 トヨタ第1デジタルユニット 自身も移動をしながら音楽を聴くことを楽しみの一つとしている。
番組で飛び出すアーティスト初出の情報にユーザー歓喜。回を重ねるごとにブランドリフト調査の結果が右肩上がりに
そんな番組にできたのは、コンテンツの制作担当者とSpotifyの営業担当者が、収録の前段階としてアーティストに事前取材を実施してくれたためです。事前取材は、アーティストのこれまでの活動内容や今後の目標などを丁寧にヒアリングし、その中からクルマやドライブの接点を見つけ出す作業。収録時に関連するエピソードが出てくるように、お話しいただく内容のすり合わせまでしていただきました。
また、出演者の音楽のジャンルはあまりかぶりが出ないよう配慮していただいたり、アーティストの素が出る番組構成とするために何度も話し合いをしたりしました。アーティストに合わせた試行錯誤をしているので、アーティストごとに番組の雰囲気は違うはずです。ユーザーには、回ごとの違いも楽しんでもらいたいです。
そんな綿密な準備があった一方で、ドライブをしながら収録する高揚感からか「そういえば私たち、こういう話をしたことがなかったね」と、初出の情報や本音が出てくることも。内容はファン垂涎、出演アーティストを初めて知った人にとっても身近に感じられるようなものになったのではないでしょうか。
そして、ユーザーは、同じ車内でアーティストの話を聞いているような没入感を味わえます。ユーザーからは、「車内のまったりとした雰囲気の中で、もっとたくさんのアーティストとドライブ気分を味わいたい」「出演したアーティストのことをより深く知ることができた」という前向きなコメントが多数寄せられました。
ブランドリフト調査で、想起度、好意度、比較検討の候補、高揚度の各指標を見ていくと、回を重ねるごとに各リフトが向上。企画実施当初は自動車メーカーの第一想起を調査で確認すると、競合他社の名前を挙げられることが多かったのですが、番組が進むにつれてトヨタへの第一想起が回復していきました。今回の施策は、若年層からの共感の獲得に大きな成果を残してくれたといえます。
「TOYOTA SOUND TRACK」にはマーケティング施策のほかに、トヨタが若手の音楽アーティストを応援していくという文脈も含みます。若手アーティストとコラボしたことにより、ファンの方々からは「あのトヨタが、自分の推しているアーティストとコラボしてくれた!」「自分の推しているアーティストを見つけてもらえた」と、今回の取り組みに対して称賛の声があがっています。トヨタグループとしても、今年から「Music Way Project」をCEIPA(※2)とともに始動させ、日本音楽産業のグローバル化、持続的な成長支援を推進していています。今後、私もさまざまな企画を通じて、日本の音楽産業活性化の一助となればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Sources & References