お客様事例

「新しくておもしろい=自分だけのプレイリスト」が人を動かす原動力に(事例:三菱鉛筆株式会社)

Spotifyでは、「自分だけのオリジナルプレイリスト」を作成できるSpotifyのWeb APIを活用し、広告キャンペーンの目玉にすることもできます。キャンペーンを成功に導いた、三菱鉛筆の事例を紹介します。

■広告内容 ・キャンペーン用マイクロサイト名:「uni スタディフェス」勉強タイプ診断サイト [ja-JP] Mitsubishi Pencil Image 1 ・サイト公開期間:2020年11月12日~2021年4月30日

・サイト概要:3つの質問に答えると、自分の「勉強タイプ」が診断される。タイプは全6タイプあり、各タイプごとにオススメのuni製筆記用具と、楽曲プレイリストを紹介。さらにSpotifyのWeb API(※)を通じてSpotifyにログインすると、その人にパーソナライズされた全20曲のオリジナルプレイリストを無料で視聴できる。

※視聴履歴にもとづいてユーザーの嗜好に見合った楽曲を提案するSpotifyの機能を、外部サイトからAPI連携で利用できるようにした仕組み

・サイトへの導線:モバイルオーバーレイ。広告掲載期間は2020年11月17日~2020年12月14日。

■インタビュー 今回の広告キャンペーンを担当した三菱鉛筆株式会社 営業企画部・加賀美洋介様と西村光貴様に、Spotify Web APIを活用したプロモーションの魅力やメリットを聞きました。

学生が楽しく勉強できる広告キャンペーンを

──今回の広告キャンペーンに至った経緯を教えてください。
西村:当社ではuniというブランドで筆記具を展開しているのですが、受験シーズンをひかえた年末年始に、大型の新商品を出すことがよくあります。2020年もシャープペン「クルトガアドバンス限定軸色」とゲルインクボールペン「uni-ball one限定色」を新発売することになり、その2商品も含めた複数のブランドで、学生の勉強を応援する広告キャンペーン「uni スタディフェス」を展開することになりました。

加賀美:とはいえ、学生さんもただ「勉強、勉強」と言われるだけでは、イヤになっちゃうよねという声がミーティングで多く挙がりました。また筆記具の世界では、当社もふくめてとかく機能の良さを全面に打ち出すことが多いのですが、近年は機能合戦が起こり、機能訴求が飽和している状況にありました。

そこで今回は、学生が勉強そのものを楽しめるような切り口にしようという話になり、そのなかで一番多く挙がったのが「音楽」だったんです。やっぱり音楽を聞くと、モチベーションが上がるよねと。そこで音楽といえばのSpotifyさんに相談をもちかけ、オリジナルプレイリストが作れる仕組みを活かしたプロモーションをご提案いただきました。

西村:とくに最近は「自分のためだけに作られたもの」がひとつのトレンドとなっていて、そこにもハマりそうだなと感じました。

──クリエイティブの制作は、どのように行いましたか?
加賀美:キャンペーン用のマイクロサイト自体はSpotifyさんに制作いただいたのですが、学生向けというのはガッチリ決まっていたので、学生に親しみを感じてもらえるような手書き風の文字やイラストを入れてくださいとリクエストさせていただきました。

最近は学生の間でちょっとアナログでレトロな空気感の商材が受けているのでそれをご共有し、デザインに採り入れてもらったり、こういうタッチのイラストレーターさんがいいですというのも相談させていただきました。

──Spotify Web APIにより自動生成されるプレイリストとは別に、6つの勉強タイプにひもづいた固定のプレイリストを作成されましたが、そちらはいかがでしたか。
加賀美:社内のいろいろな人たちに聞いてもらいヒヤリングしながら、「短期集中タイプはこんな人だから、この曲ならモチベーションが上がりそうだね」とか「ファッションリーダータイプは、こういう曲はあまり聞かないんじゃないかな」といったことを西村と話し合いながら、曲を選んでいきました。これは仕事でありつつ、休憩時間中のように楽しい作業でしたね(笑)。

訪問者の52.79%が、“診断結果”まで進んだ

──実際に商品が並ぶ販売店では、どんなプロモーションを展開しましたか?
西村:当社の商品は筆記具という特製上、まだまだWebより実店舗で買っていただく割合が高いため、売り場でのプロモーションも大切に考えています。そこで今回は、キャンペーンの存在を伝えてマイクロサイトに誘導する訴求パネルやスイングPOPを制作し、販売会社を通して各販売店さまに展開しました。ありがたいことに多くのお店さまが、店頭に販促物を設置してくださったり、特設コーナーを設けてくださいました。

写真提供:三菱鉛筆株式会社

──広告の効果についてお聞かせください。
まずは具体的な数字としてマイクロサイトのページビュー数約2万、ユニークユーザー数1万6千、ユーザー完了数(タイプ診断の結果まで進んだ人の数)50%、プレイリスト生成数(Spotify Web APIを通してオリジナルプレイリストを作った人の数)2,800、プレイリスト再生率30%という結果が出ました。

加賀美:短期間で2万人がサイトに訪れ、3000人弱の人がオリジナルプレイリストを作ってくれた、要はキャンペーンに参加してくださったと考えると、これまでのキャンペーンのなかでもかなり大きな規模になります。キャンペーン参加者には、当社の製品を目に入れていただける動線になっていたので、かなり良いキャンペーン企画になったのではないかという印象です。

──数字以外の反響は、どんなものがありましたか?
加賀美:とくに印象的だったのは、多くの販売店さまで、前述のとおり販促物をご活用いただいたり特設コーナーを設けていただいたことです。通常、新製品が出ただけではなかなかこうした展開をしていただけないこともありますが、今回は多くの販売店さまで展開をしてくださいました。

西村:Spotifyのロゴも入っていて「なんか新しい!」「文具と音楽が結びついてて楽しそう」といった雰囲気を感じさせるところが、販売店さまでのプロモーション展開を後押したのではないでしょうか。ユーザー様だけでなくお店の方々にも、おもしろがっていただけたのかなと。

また今回お願いした北構まゆさんのイラストが、非常にかわいかったのも大きかったです。たとえば都内のある大型店舗さまでは、店頭にuniの商品とあわせて今回のイラストの人型パネルも置いてくださり、かなり柔らかい雰囲気の文房具売り場を作られていました。具体的な広告効果の数字もよかったのですが、ネットで仕掛けたことが、リアルな店舗で目に見えて形になったことが、とても印象的でした。

「新しくておもしろいこと」が人の心を動かす

──SNSでの反響はいかがでしたか?
西村:販売店さまのSNSでは、「いま、こんなおもしろいコーナーをやっています」といった告知もいろいろしていただきました。その点に関しても、今回は特別だったなと。

またユーザーさまも、ご自分の診断結果をTwitterやFacebook、LINEにシェアしてくださる方がたくさんいました。特にLINEでのシェア数が目立ちましたね。それとTwitterでは、APIで生成されたプレイリストに対して「よく聞く曲がたくさん入っていた」という声が多くあったのと同時に、「初めて聞く曲がいっぱいあって楽しい」という声も聞かれました。体験やインパクトをご提供できたという点で、どちらの反応もうれしかったです。

今回のキャンペーンを通し、ユーザーさまからも、販売店さまからも、総じて「新しい試みをしていて、おもしろい」といった声をいただきました。当社は歴史のある文房具会社なので、かたいイメージをもたれがちですが、時代に先がけた新しい取り組みもしているというブランディングを各方面に行えたことが、何よりよかったなと感じています。

加賀美:ちなみにこれまで私たちの業界では、今回のように商品群で店頭プロモーションを行うことはあまりなかったのですが、今回のキャンペーンをきっかけに他社さまでもこうして商品群で訴求する店頭プロモーションがプチブームになっていて、それだけインパクトがあったのかなと自負しています。

実は社外だけでなく社内にも影響を与えられたようで、当キャンペーン以降、他社さまと協力しながら新しいことをやっていきましょうという空気が生まれつつあります。実際にいくつかのメーカーさまやイベントなど、これまでご縁がなかった業界とのコラボレーションが進みつつあります。

──Spotify WEB APIを活用したプロモーションのメリットを、あらためてお教えください。
西村:Spotifyでの視聴履歴から、AIが自分の好みに見合ったオリジナルプレイリストを作ってくれるという仕組みをきっかけに、ユーザーさまに商品にふれてもらえる。そして社外にも社内にも、新しいこと・おもしろいことをしている会社だと感じてもらえる。うちにとって、マイナスになることはひとつもないなと思いました。

今まで当社の商品は、アナログの場で情報を取り、アナログの場で買っていただくのが常でした。でもこうしたプロモーションにより、情報の取れる場所をデジタルにも広げられます。それにより、これまでリーチできなかったユーザーさまにもリーチできる。その点でも、活用させていただいてよかったなと感じています。

■Spotify WEB APIのしくみ ・ユーザーはSpotifyで音楽を聞けば聞くほど、アカウントがパーソナライズされ、より自分の嗜好にそった楽曲やアルバム、プレイリストを聞けるようになります。

・それを可能にしているのが、楽曲のメタデータです。データ項目はジャンル、人気度、楽曲の長さ、速さ、マイナーキーかメジャーキーか、アコースティック率、ダンサブル率などに及び、Spotify上に存在する7000万曲すべてに、これらのデータ値が設定されています。それにより、ユーザーが好む楽曲の特徴を把握し、同じ特徴をもつ楽曲を提案することが可能になっています。

・この仕組を外部サイトから利用できるように開発されたのが、Spotify WEB APIです。APIをサイトに埋め込むことで、キャンペーンの内容にそったオリジナルプレイリストや、ユーザーにぴったりマッチしたプレイリストの提供が可能になります。

※Spotify Web APIを商業的に利用する際はwithspotify.comドメイン下で使用する必要があります。利用をご希望の方は営業までお問い合わせください。

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